地価公示 路線価

地価公示・路線価・固定資産税評価額の違い

不動産というのは概してその価値が高いため投機的な動きの対象にされることも多く、いざ自分がする取引の際にはかなり慎重になりますよね。
特に土地については一部の田畑や山林など自然現象や経年劣化による土壌環境の悪化などの影響を受けるもの以外は建物のような価値の減少は無いとお話しました。

ではあなたが住んでいる建物が建っている土地、これが借地であろうと自己所有の土地であろうと、その価値をいったい誰が決めているのか考えたことはありますか?

 

実は土地の価値基準というのは1つではなく5つもあるのです。これを「一物五価」といいますが、同じ土地でも5つの価値価格が設定されるのです。

 

なんだか不思議な感じがしますが、なぜこのようなことになるのか説明していきます。この5つの価値の設定を誰が、何のために、いつ算定するのかを知れば納得できるでしょう。

 

「相続税評価額(路線価方式)」

 

これは以前に出てきたとおり、相続が発生した場合に、遺産に土地が含まれる場合、その価値を客観的に測るために行われる評価でしたね。この評価の目的は相続税・贈与税の算出の為であり、評価の時点は1月1日現在を基準とし、国税庁が権限者として7月頃に発表します。閲覧場所は各地の税務署になります。

 

実際の計算はかなり複雑で、数々の補正要件が入るため素人には難しいことも多いので、FPや税理士に相談される方が多いようです。

 

例えば土地の地目(宅地とか農地、山林など、土地の用途のことです)や住居用の他に店舗用の区画があるかどうか、所在する地域は商業地区か、住宅地区か、どんな道路に何面面しているか、道路からの奥行はどれくらいあるか、三角形などの不整形な土地か否か、借地権の設定はあるか、使用する私道の利用状況はどうかなど、実に細々としています。

 

固定資産税評価額

 

これは市町村が固定資産に対してかける固定資産税を算出するために、その課税標準(税を課す対象)の設定の為に作られる価値基準です。設定の権限者は市町村長で、3年に一度の評価替えがあるのでしたね。

 

基準となるのは評価替えの年の1月1日で、結果の発表は3月〜4月になります。閲覧場所は市町村の役所です。固定資産税以外には登録免許税や不動産取得税の算出の為にも用いられるものでしたね。ここまでが、今まで出てきた土地の評価法です。それではこれら以外に何があるのでしょうか。「一物五価」の残り三価です。

 

公示価格

 

これは国土交通省(正確には土地鑑定委員会)が権限者として設定する土地の価格です。

 

設定する目的は公共事業などの為に土地を買い受ける際に、その金額の算定に用いることを主目的としていますが、実際には私人間での土地の売買の指標にする目的もあるようです。地価公示法に基づき、委嘱を受けた不動産鑑定士が土地を調査します。

 

評価の基準日は毎年1月1日で、結果の公表は3月下旬から4月頃となります。結果の閲覧は市町村の役所で見ることができますし、官報にも掲載されます。

 

基準地評価額

 

これは都道府県知事が権限者となって設定する土地価格です。

 

評価の基準点は毎年7月1日、公表は9月下旬頃です。結果の閲覧場所は市町村の役所で見ることができます。国土利用計画法に基づき、都道府県から委嘱を受けた不動産鑑定士が土地を調査します。

 

さてこの基準地評価額ですが、実は先ほどの公示価格を補完する役割があるのです。公示価格は評価の基準点が1月1日なのに対して基準地評価額は7月1日です。これは年の途中での土地の価格変動に対応するためです。国(国交省)と地方自治体が協力して土地の評価にズレが生じないようにしているんですね。そのため土地の調査・鑑定の手法もほぼ同じだとされています。

 

公示価格・基準地価格・相続税評価額・固定資産税評価額の関係

 

公示・基準地・相続税・固定資産税の各評価額の間には一定の相関関係があります。
すなわち、公示価格と基準地評価額を100%とすると、相続税評価額はその80%、固定資産税評価額はその70%を目安に設定されることになるのです。

 

これは何故かというと、固定資産税の場合は市町村間や地域差などのために評価にばらつきが出て、不公平感が大きく出ないようにするためと、その他政策的な目的の為に行われているとされています。相続税評価額については政策的な目的の他に、相続税の算定基準となるために相続税額が過大になり、納税者に負担がかからないようにするための配慮とされています。

 

さて一物五価の4つを見てきましたが、最後に残った「一価」は何でしょうか。それは次回の記事でお話します。

 

売買取引時価(実勢価格)

前回の記事で一つの土地に5つの価値価格があるとお話しました。それは国や県、市町村などの自治体が、各々が管掌する行政事務を行うために、それぞれ違った目的の為に作られる価値基準でしたね。

 

残った最後の一つは何かというと「実勢価格」です。売買取引時価、あるいは単に時価ということもありますが、要するにその土地を私人間で売買取引する際にどのくらいの値段がつくかということですね。

簡単に言えば、不動産屋さんで表示されている価格がその土地の実勢価格ということになりますが、さらに踏み込んで考えると実勢価格の曖昧さが見えてきます。

 

土地に纏わる様々な事情で実勢価格は乱高下する

土地は何も不動産屋さんで扱っている土地だけではありません。あなたが眺めの良い土地に家を建てたい場合、その土地の権利者を探します。そして売買交渉をするわけですが、その人は不動産屋さんではないこともあります。この場合その個人から買い受ける価格が実勢価格となります。

 

ここで、土地の取引には明確な基準が無く様々な思惑や事情に左右されることになるのですが、例えばその土地は所有者が無き父親から受け継いだ土地だったとします。するとその土地は所有者にとってお金には代えがたい価値があるかもしれません。そう易々と手放してなるものかと粘り、値段は急上昇します。

 

あるいは逆に、売り手と買い手が親族関係など一定の縁故関係にある場合、買い受ける実勢価格は極端に安くなります。所有者が何らかの事情で急いで売りたい場合も同様です。このように、実勢価格の実態は非常に幅があって、その土地に纏わる人の様々な思惑が絡んでくるため客観的に見て公正ではない金額で取引される実情は往々にしてあるのです。

 

 

土地の値段について、客観的な指標になる評価はないのか?

実勢価格は私人間の取引の際に使われる価値判断の指標で最もよく使われるものですが、上記の通り場合によっては参考にならない場合もあります。他の公的な指標も参考にすることができますが、国や自治体の政策的な思惑や誘導が入り完全に客観的とはいえません。それよりも本当に客観的に公平で、誰が見ても納得できる指標というのは無いものでしょうか。

 

実は一つだけ、公平な価値判断ができる方法があります。それが不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価です。

 

これは、不動産というものをそもそもどのように評価すれば、誰もが納得できるようになるのかという原始的な理論から構築された評価手法で、ある3つの手法を併用して不動産の価値を判断し、算定するものです。以下の3つがそれです。

 

原価法

 

これは同じ物を市場で再調達するなら、どれくらいの費用がかかるか、という点で評価する方法です。
再調達する時には幾分かその不動産の価値は下がっていることもあるので、その分を減算して計算します。

 

「再調達原価−減価格」で計算します。

 

収益還元法

 

その不動産が将来生み出すであろう価値がどれくらいになるのかを基準に設定されます。

 

例えば、その土地を誰かに貸し出したときにどれくらいの不動産収入が見込めるかといった観点から評価します。

 

取引事例比較法

 

その土地の近隣の地域や類似地域から候補を選定し、対象の土地と条件が似ている事例を抜き出してその取引の事例を参考にする方法です。売り急ぎや買い進みなどがある場合はその事情を修正し(事情補正)、物価変動による事情を補正し(時点補正)、地域の要因や建築年数などの個別の事情を考慮して算定されます。

 

これら3つの指標をもとに客観的に公平な不動産鑑定評価を行うことができます。何らかの事情で公平な評価が必要な場合は不動産鑑定士によるこのような評価も可能であることを覚えておきましょう。

 

 

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